旧まちの縁側MOMOは、名古屋市東区平田町交差点の近くにあり、車の往来が激しい通りに面していながらも、よく見るとどこか懐かしさを思わせる静かな佇まいである。
 入り口の暖簾をくぐると小さな待合室があり、さらにその奥へ進むと、訪れた人を和ませる温かな空間と、その先には縁側越しに季節の移ろいを楽しませてくれるお庭が広がっていた。
 MOMOの空間は築50年の元歯科医院。ご主人が亡くなり、15年前から使われることなくそのままの状態になっていた空間をB&Aデザイナーの井上圭子さんの手により、元歯科技工室の作業机は『飾り棚』と『ミニキッチンの天板』に使われた。ミニキッチンには陶器の流し台もはめ込まれ、そのためにくりぬかれた天板の一部はまちの縁側MOMOの『看板』に変身を遂げた。

旧まちの縁側MOMOの外観 幹線道路を目前に位置している

 MOMOの看板をよく見ると『MOMO』という文字が手と手をつないでいる姿に見える。ヒトとヒト、ヒトとモノ、モノとコト、あらゆるものはつながってぐるぐるとめぐり行き、めぐり来る生命への愛しさが込められている。
 看板の中の猫は縁側で気持ちよさそうに昼寝をしている。MOMOはそんな誰もがホッとくつろげる空間でありたいと願っている。

MOMOの流し台は元歯科技工室の作業机 くりぬいた部分はMOMOの看板として利用

 古いものを捨てることなく生まれた〈まちの縁側MOMO〉の名前の由来は、時間泥棒から勇気と知恵をもって人々の時間を取り戻したお話、ミヒャエル・エンデの『MOMO』。

 昼のMOMOは誰もが立ち寄れるサロン、ギャラリーとして月に4回小物づくりを楽しむ『おしゃべり幸房』や、季節を感じさせてくれる作品展、ワークショップも時催されていた。
 夜になるとNPOまちの縁側育くみ隊として、各プロジェクト会議や理事会などが開かれる場となった。

 そこに行けばきっと誰かに会えそうな『まちの縁側』ふらりと立ち寄っても温かく迎えてくれる『まちの縁側』は、特別な場所ではなくとっておきの場所でありたいと思っている。しかし、空間的にあまりにも手狭になってきたため、新たなる出会いを求めて同じ町内のビルの1階に引っ越すことになり、この場所での縁側活動は終止符を打つことになった。

MOMOに縁側ができると毎日何かよいことが偶然に起こる縁起の世界 犬も興味をしめす「エン」の効果
まちの縁側MOMOとは
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