概要
名称  一宮市宮前三八市広場活用ワークショップ
期間  2004年度
場所  愛知県一宮市真清田神社前
内容  真清田神社前に広がる宮前三八市広場の活用計画のシュミレーションや計画実行時の課題の解決策を導きだし、今後のまちなか元気再生を目的とした市民参加型ワークショップのコーディネート業務を行なう。

 市民参加のワークショップで構想、設計を行った公共広場の活用を広く市民に向けて広報し、活用を促すため活動を行なった。
 構想から設計の段階を順におっていく。

■はじめに
 私たちは公共施設設計において単にハード的なデザインをするだけではなく、その施設が市民にどのように使われるのか…市民の人たちの声を救いあげ、省察、検討してデザインに生かしていく、いわゆる<ソフト付きハードデザイン>をこの宮前三八市広場活用時においても必要不可欠要素と考えている。

整備前の宮前広場

このワークシップは、1.きもちづくり 2.かたちづくり 3.しくみづくり 4.うごきづくり と4つのステップで校正された。


■まち育て隊お宮前わいわい倶楽部の発足<2001.4>
 市民、周辺住民、市民活動人、延藤研究室+応援ボランティア、行政、お宮さん、商店街によって世話人グループを結成。真清田神社前200坪の広場づくりのまち育てワークショップがスタートする。その際、一人の方は行政のアリバイづくりの市民参加ではないかと半信半疑であった。


■きもち−1 まち探険ときもちづくり幻燈会/『ここは広場ではない!』<2001.4>
 まちの宝物探しからこのまちの原風景「三八市」を発見。「おへそのように大切なところ」「物語を紡ぐところ」「今は道路扱いになっているが、昔はお宮さんの参道でもあった」思い多きところ。人によってはここは広場とは思えないところであり、対立が起こる。

雨の中のまち探険


■きもち−2 何を目指すの?話し合おう/それぞれの立場で思いをぶつけ合う!<2001.5>
 お宮さんから、「2000年の歴史を持つ場所。公共事業は世代を超えて受け渡されるべき目標をかたちづくるもの。故に、先々に渡る歴史そのものをどうやって残すかという観点で広場づくりを考えていただきたい」。
 市民から、「このまちを自分たちの手で変えていこうとする草の根的運動が起ころうとしている。志のある民による『志民』活動と呼ぶならば、自分探し、杜の宮市やこの広場づくりはその活動の1つ。このような活動が目指すところは一宮のグランドデザインであり、一宮ルネッサンスである」「この場所は参道なのだ。公園ではない!」その他、商店街、行政の立場からこの広場づくりに対する、もしくはまちに対する思いをぶつけ合った。
 →伝える、つなぐ場所づくりと意識づくりを育くもう。

参加者それぞれの想いを紡いで…


■かたち−3 参道としてのお宮前広場ではどんな『物語』が起こるのか?<2001.6>
 行政と真清田神社にて話し合いが持たれた。ワークショップにて広場づくりを続けようということになった。一宮市の歴史は100年。お宮さんの歴史は2000年。美しい景観を持ち、お宮さんと商店街をつなぐ交わりの場にしよう。限りなく発展する雰囲気づくりと老若男女が気軽に集う、思い出を紡ぐ『結界』としよう。この日、神社の禰宜さん故松井氏は今回のワークショップの位置づけを神社の立場から説明し多くの理解を生み出す。



■かたち−4 デザインゲーム1/『三八市』の歴史を学ぼう<2001.7>
 三八市の歴史を知りこの広場をつくろうと、市民と三八市を研究された神奈川大学の伊藤喜栄先生からお話を聞く。「三八市は3と8の付く日に行われ、月に6回あることから六催市と言われている。その起こりは狩猟採集の時代の不定期市であり、三催市、農耕社会になり成長する。三八市は幕府から手厚い保護を受け発展。戦災を挟み、社会情勢の変化により消滅。」と説明された。また、市民から、「桃花祭には山車が出る。今まで山車をばらして間違って組み立てたこともあった。今回の広場づくりにおいても、神社、三八市の歴史を学び、これらを踏まえ、ソフトをしっかり表現し伝える広場にしてもらいたい。三八市ではありとあらゆるものを手に入れることが出来た時代がある」と広場に対する熱い思いを自らの経験と共に語られた。
 この日はいろんな人や動物の立場にたちデザインゲームを行う。その中から、流れる、たまれる、楽しめる、多目的なイベントの出来るところ。お宮さん、商店街、広場がこだまし、響き合う空間にしようとまとまる。


■かたち−5 デザインゲーム2/お宮さんも整備する?<2001.8>
 今までの提案をふりかえり、「すっきり」、「ほどほど」、「たっぷり」の3案を基にデザインゲームを進める。神社は既存の石の鳥居を大きな鉄製に、参道のバリアフリー化案を発表する。デザインゲームでは、お宮、商店街、広場の三位一体を図る上で、すっきりと慎み深い、ほどよい緊張感を目指すことに。記憶を呼び覚ます、時間空間的に広がりのある提案、見苦しいものを取り除くことを目指す。


■かたち−6 今まで進めて出てきた内容を延藤研究室+応援団にて
 基本設計案を約3ヶ月かけてまとめ上げることとなる。条件の再整理をし、いろんなアイデアを出しながら、行政、お宮さん、世話人と協議を重ねた。

・木曽川水系に抱かれたこのまちを表現するやさしい仕上材の土舗装
・三八市の六催市を表現した6本の木曾檜(ひのき)の列柱。夜は床からライトアップ
・参道として人を導く木曽川のごろ太石と手づくりタイルの道
・草の根活動の強さと志を表すワイルドフラワーの植栽



■かたち−7 きもちをかたちに基本設計案のたたき上げ<2001.11>
 計画案の質問と共に、好感を持ってたたき上げられる。そして、この広場をみんなで使う事の出来る仕組みを大切に育てていく管理運営の話題が起こり始める。
 この日のまとめは「きづかい」「木、花、土、緑の慈しみの心を大切に」「管理運営のわずらわしさを楽しさに」「意思と思いのつながる開かれたまちへ」とみんなの気持ちを込めた広場が育ち始めた日であった。


■かたち−8 広場を使って計画案のお披露目と実験的宮前演芸場!<2001.11>
 市民が自由に使える広場では何ができるのか実際にやってみよう。また、ここが広場なのだということを伝えようと、「実験宮前演芸場」と題して、ライブ、紙芝居、トークライブ、太鼓、大カルタ取りと共に、ワークショップ案のお披露目を行いました。広場から音が聞こえてくると人の流れが変わりました。


■しくみ−9 広場でどんなことできる?どんな仕組みが必要か。<2002.5>
 自由に使える広場で何が出来るのか話し合いました。
「子どもの参画を大切に、こどもまち探険自由広場をつくってみよう。」
「自由の裏側にある責任ある管理をやろう。」
「広場での実際の活動を通して管理内容を育てよう。」


■しくみ−10 こども自由広場をオープンカフェでワークショップしよう!<2002.6>
 オープンカフェを囲んで、むかしあそび、駄菓子屋、バルーンアート、体験おもちゃづくり、Tシャツ染色アート、紙芝居、どすこいDJ、こどもの体験自由広場として市民の手で催しを行う。通りすがりの親子が利用し、人々の気持ちが重なり合った場所になっていた。後見人グループについてもオープンカフェで話し合われた。誰が、いつ、内容は、簡単に借りられ、マーケット等も出来る仕組みに。NPOとの連携も考えていこう。


■しくみ−11 広場をつくろう!/タイルに夢をこめて。<2002.7>
 主に市内の小学生が広場の床に埋められる15cm角の陶板に夢や思い出を描いた。広場にテントを張って友達や親子で出来上がる広場をイメージしながら、2色の陶板に思いを込めて手づくりした。

子どもたちが思い思いの夢を託して彫ったタイル

■しくみ―12 条例づくり/自由な広場となるために<2002.9〜12>
 広場を広く市民に使ってもらおう、出来るだけ自由に使えるようにしようと、条例づくり、使用細則づくりも市民参加で行った。世話人グループは条例前文案として、何のために市民参加でこの場所をつくったのか、今後に向けて語り会えるために思いを綴った。結果、この広場の宣言文として残されることとなる。


■しくみ−13 広場に名前をつけよう/三八市の賑わいを<2003.1>
 広場の工事は完成となり、広場への名前を公募し、この日公開審査として市民参加で名付けを行った。決まった名前は「宮前三八市広場」。今は途絶えてしまった三八市。当時のまちの賑わいや楽しさをこれから先によみがえることを願って、みんなで決めた。

広場の名前も市民参加で決めました

■うごき−14 生誕祭も市民参加で行おう!<2003.4>
 広場の生誕記念祭を市民実行委員会をつくり行う。テープカットではなく「紡ぎ式」。宣言文の群読、太鼓、ライブ、カフェ、餅つき、チャリティーバザー、こども体験おもちゃづくり等、大雨の中これも手づくりでとり行い、この日以降、自由に使うことが出来る広場としての誕生をみんなで祝った。

宮前三八市広場生誕記念祭 そぼ降る雨の中のつむぎ式

■うごき−15 おそうじ、メンテナンスも市民の手で<2003.12>
 出来上がった広場の清掃とメンテナンスをやろうと、草刈り、六本柱の足元溝、タイルみがき、その他改良点等を確認しました。午後からは市民企画「三八サンデーいちのみや」のお餅つき、炊き出し、どすこいDJ、チンドン隊がとり行われ、年末の忙しそうな人々の中、賑わいのおいしいおすそ分けが行われた。

「宮前三八市広場」のおそうじワークショップ―NPO、市民、行政それそれが「身をのりだす」ことが「協働」であることを見事に示唆しているシーン 整備された宮前三八市広場。土舗装のとても気持ちが良い広場か生まれました!

プロジェクト
東区文化のみち創造
ENGAWA design
公共施設活用支援
一宮市宮前三八市広場活用ワークショップ
子どもまち学習支援
まち育て支援
まちの縁側学習・交流
調査研究・提言
イベント参加

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